有史以来、人々の生命を育み、時にはその生命を奪ってきた黄河。
その大河を一艘の渡し舟が、水面に漂う落ち葉の如くゆっくりと進んでいた。長年使い込まれてきたのであろう。いたるところに補修や補強の跡が見られるものの、水牛をニ、三頭乗せてもびくともしない舟である。
しかし、数日前の長雨が原因で河川が増水している為、そんな舟も今は危うげであった。
笠を深く被った船頭が運んでいる荷は、たいそう大きな巻物を背負った一人の少年であった。
少年の名はタイフォン、天厳流拳法の使い手である。タイフォンは舳先にあぐらをかきつつ、これまでの出来事を思い返していた。
“面相墨刻百八業(めんそうぼっこくひゃくはちぎょう)”
―――それは嘘か真か、白紙の巨大な巻物を、己が拳で倒した強者の顔拓百八個で埋め尽くすという、かくも厳しい修行である。天厳流拳法の統主である祖父の命により、タイフォンはゾーンプライムで開催された第5回F.F.S.に参加、見事その修行を達成するものの、不注意によって巻物を無くしてしまうのであった。
「修行が足らんっっ!!!」
いつもと同じ調子で祖父の叱咤がタイフォンに飛ぶ。
帰山後、タイフォンは修行が達成したことを何度も必死に説明したが、祖父はまったく聞く耳を持たなかった。
「くっっ…そ~っ!あの時…あの時“はんばぁがあ”を食べさえしなければー!!!」
前回大会後、喜びのあまり賞金で大量のハンバーガーを食べたタイフォンは、更に大量の“ていくあうと”をしてもらい、道中もそれを食べながら帰路についていた。そして、寺に程近い峠で一息つき、残り少ないハンバーガーを一気にたいらげていた時、
何者かによって巻物を盗まれてしまったというわけである。あまりに夢中で食べていた為、タイフォンはそのことに気がつかなかったのだ。
結局、山寺での修行は見事再開し、いつもの日常へと戻っていった。
そして月日は経ち、祖父は再びタイフォンに試練を与える。
「これより“面相墨刻百八業”を命ずる!!」
驚く事にその内容は、前回達成できなかった、いや、タイフォンからすれば達成したはずである“面相墨刻百八業”の再修業であった。
「うえ゛~…またぁ~?」
タイフォンが呻くように言った。
「なんじゃ文句があるのか?それならば…」
「い、いや!やります!やらせて下さい!」
祖父の言葉を遮るように、タイフォンが慌てて言い直す。
自分の小舎へと戻り、せっせと旅支度をしながら、タイフォンの胸は踊っていた。
この修行は面倒くさいが、巨大な岩石に追われたり、石像を背負って岸壁を登ったりする修行よりかは遥かに楽なのである。そして何よりも、また都会へ行く絶好のチャンスでもあった。
こうして、タイフォンは真新しい巻物を背に、長い階段を颯爽と駆け降りて行くのであった。
「こりゃあ、ひどい流れだ。ぼうず、落ちないようにその辺にしがみ付いておきな。」
船頭の声で、はたと我に返るタイフォン。
どうやら増水で出来た渦のせいで、渡し舟が着岸できないらしい。確かに岸に近い部分にはグネグネと水流が渦巻いている。
「じゃ、ここでいいや。ホイ、これ船賃ね。」
「お、おい!ぼうず、どうするんだ?」
当惑する船頭を尻目にタイフォンは勢い良く岸へ向かって跳躍し、そのままくるりと前宙を決めて着地した。
「おっちゃんサンキューなー!ぱぱーっと片付けて土産持って戻ってくるから、帰りも又よろしく~!」
タイフォンは後ろ走りで手を振りながらそう叫び、一直線に走り去っていった。その揺れる巻物を背負う姿が見えなくなった頃、船頭は笠を外して心配そうに孫を見送るのであった。
「はてさて…、今回もうまく勝ち進めるんじゃろうかのぅ…。」
※キャラクターが右向きの場合
LP=弱パンチ、SP=強パンチ、LK=弱キック、SK=強キック、D=ダッジ
特殊技
-
双撞掌(そうとうしょう)
-
三角跳び(さんかくとび)
-
双落脚(そうらっきゃく)
必殺技
-
纏勁掌(てんけいしょう)
-
縮勁砲(しゅくけいほう)
-
烈双按(れつそうあん)
-
連活脚(れんかつきゃく)
-
跋気掌(ばっきしょう)
-
猛跳襲(もうちょうしゅう) ①
-
双落脚(そうらっきゃく)
-
飛端脚(ひたんきゃく)
-
三角跳び(さんかくとび)
-
壁跳び移り(かべとびうつり)②
-
纏勁掌(てんけいしょう)
-
飛端脚(ひたんきゃく)
-
三角跳び(さんかくとび)
オフェンシブアーツ
-
縮勁・崩衝按(しゅくけい・ほうしょうあん)
ディフェンシブアーツ
-
金剛搗碓(こんごうとうたい)
クリティカルアーツ
-
颱風式・超絶連勁砲 (たいふぉんしき・ ちょうぜつれんけいほう)
ブーストダイブ
-
纏勁砲(てんけいほう)